漫画 「3月のライオン」 1 [漫画]
漫画 「さんがつの らいおん」
羽海野チカ 白泉社 JETS COMICS(ジェッツコミックス) (¥467 税別)
オススメ度 ★★★★☆
帯にも書いてありますが、少女マンガ「ハチミツとクローバー」の作者が、今度は高校生でありながらプロ棋士、という少し変わった状況の少年を主人公に、青年誌ヤングアニマルで連載中です。
ハチクロは好きなので(以前書いた感想)、この連載も結構期待していました。コミックスが出るまで待てないなーと思い、ヤングアニマルを買っていました。
ヤングアニマルは大体2週に1回出るのですが、途中、お休みもあったりして、やっと1巻目が出たねー、という感じ。
面白いです!
ただ、ハチクロのよーなラブストーリーを期待している方は、1巻は、「?」という感想になるのではないでしょうか。
↑に、『連載1回目、雑誌の表紙には「優しさあふれるラブストーリー」と書かれているんですが、誰と誰の…?(そして2回目からは書かれていない)』と書きましたが。その後、「ラブストーリー」という記載は復活するも、ラブの気配はあんまり感じられないです。今のところ。
←扉に、『河の流れのように進む優しいラブストーリー』と書かれていて、『桐山クンとひなちゃん まだ、二人の距離は微妙…』と書かれていて、それを見て、「あーそうなんだー」…いや、「えーそうなんだ?」という感じです。
(読んでいる方々に向かって)今のところ、主人公の成長話、という色のほうが濃いですよねー?
この惹句が無かったら、ラブストーリーとは思えない。別に無くても良いんじゃないのかなー?駄目なの?
主人公は、今、ホレたとか何だとか言ってられる状態じゃない。それどころじゃないようにしか見えない。なんと言うか、立ってるだけで精一杯という感じ。
多分、企画側としては、ラブの要素が強いものを!例のあの感じでお願いします!という思惑があって、作者もそうしようと思ってはいるんでしょうけれど、モチーフとして選んだ「将棋」のフトコロが深すぎて、作者はまだ主人公を取り巻く状況を描くだけで手一杯、という感じなんじゃないのかなあ。(深読みしすぎでしょうか)
ハチクロでは、絵とか彫刻とか、作者の『知ってる』もの、自分の体験の延長線上にあったものを背景に使って人間模様を描いていたけれど、今回はあえて『知らない』ものを背景に選んだわけで。
作者のweb日記に、
> 指先に針で開けた小さな穴から
> コップ一杯の血を絞り出す作業
と表現されている今回の連載には、作者のはりつめた状態、悪く言えば余裕のなさ、を、感じます。
ラブのせつなさが表現されるのは、もうちょっと先なのではないでしょうか。
読み手の私も、残念ながら将棋のことが全くわからないため、対局の様子を見ても、盤面がどんな意味を持つのかわからなくて残念。「ああ、あの名対決の…!」とか、意味がわかれば、多分面白さが倍増するんだろうなあ。
もちろん、全然わからなくても、大丈夫なんです。欲を言えば、という事です。
これから先、桐山クンは、色々な意味で欠損を埋めていくことになるんでしょう。色々見つけていくんだろうな。(例のアレです。「自分さがし」。)
実はもう自分のまわりに既にたくさんあるのに、全然気づいていないですよねーー。
相変わらず、主人公を取り巻く登場人物が、それぞれ魅力的です。
本筋と直接関係のない小ネタも面白いし、猫はかわいいし。(フクロウみたいな猫ちゃんが、途中からあっさりと普通の猫ちゃんになっちゃってるのが残念だけど…。)
ところで。
なんでヤングアニマルで連載?と思います。
表紙が水着の女の子、表紙をめくるとカラーのグラビアがえんえんと…みたいな構成なので。
レジに持って行きながら「違います違います」と言いたくなるよねー。「違います違います」と思いながらも羽海野チカめあてで買っている女性は多いのではないでしょうか。
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