映画 「憑神」 [映画]
映画 「つきがみ」
出演:妻夫木聡ほか 監督:降旗康男 (Amazonにて¥3416 税込)
オススメ度 ★★★☆☆
小説(原作)の感想はこちら。
映画になると聞いたとき、コメディ映画だよね、と思った。
でもなんか雰囲気が…この監督は、シリアス系映画が多いんでしょ…あ、そうか、同じ原作者の「鉄道員(ぽっぽや)」とか撮ってるんだね。
というわけで、「マジメなコメディ」というジャンルがあるとすれば、それになると思います。
ところどころ、くすりと可笑しい。
好きだったのは、貧乏神が、自己紹介するところ。主人公が母親に苦し紛れにした説明通りに言うんだよね。(聞いてたのかい!)
「ええ、ええ…。…。…はあ?」という雰囲気が面白かった。
後輩(がいつの間にか職換えしてるのもおっかしいし、そば屋のノリツッコミも笑えました。
主人公の、「武士武士」しているけれど事実として世相に流されている次男坊に、妻夫木聡。
真面目そうで、でも押しが弱い感じ、結構合ってたんじゃないかなー。
ただ、「くやしい演技」が足りない感じも。主人公にはもっと悔しがって欲しかったな。それがラストにつながっていくのだろうと思うので。
(むしろもう一役の方が、「っぽかった」。)
長男は佐々木蔵之助。良かった。
「武士なんてさー、もう、意味ないよねー。」みたいな。
現代人になりつつある、その軽さ。勝海舟や榎本武揚らが目指している現代人とは、ちょっと意味が違うんだわー。
小ずるい立ち回りも、「ああこういう奴いるよね…」と思わせる。
神様たちもなかなか良かったねえ。
特に、トップバッターの貧乏神、西田敏行は。
おもしろい。やっぱり西田敏行は面白い。と思った。洋傘をさしているのがかわいらしい。
疫病神は、えー赤井英和が関取に見えるのかしら?と思っていたけれど、まあまあ、そんな感じだったかな…。
本当はもうちょっと太め、できれば巨体の人が良かったんだけど。
死神は森迫永依。うーん、普通。あまり感情を出さないでうっすらと笑う、なんていうシーンがあれば、もっと怖かったのに。
彼女と主人公とのからみは、原作よりもロマンティックな雰囲気に演出してあったと思った。
シンパシーより恋情寄り。対象を変えるくだりも、やや原作と違ったと思う。
他のキャストも充実していた。夏木マリが母親、鈴木砂羽が長男の嫁、佐藤隆太が霊感のある後輩、香川照之がそば屋。
笛木優子(ほらあの韓国の)が別れた妻。(時代劇には珍しくキスシーンがあった。)
芸達者ばかりだし、ちょこちょこ笑えるし、何も考えなくても見ていられる映画だろうとは思うのですが、それだとちょっともったいないんじゃないのかなあ。
となると、原作を読んでいない人には、やや不親切かも知れない。
主人公が単に跡継ぎのために利用されていた、というのも、榎本や勝の登場も、「時代が変わっているんだよー、もうお武家様の時代じゃないんだよー」という事の表れなんだけど、そういう流れが、わかりづらかったですよね。
主人公の考え方との食い違いが、イマイチ伝わってこなかった。
そこが大事なのにー。
あと、ラストはなあ、もうちょっと説明して欲しかったなあ。
原作を知らないで見ている人は、「えっ何?どういうこと?なんで、何のために行くの?」と思ってしまうのでは。
そこが大事なのにーーーー。
てーことで、★が3つなんです。
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