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小説 「ひかりの剣」 [小説]

ひかりの剣 (文春文庫)

ひかりの剣 (文春文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/08/04
  • メディア: 文庫

小説 「ひかりの けん」
海堂尊 文春文庫(¥590 税込)
オススメ度 ★★★☆☆

↓ネタバレという程ではありません。

コミックの表紙のような表紙だ。
それもそのはず、表紙イラストは「六三四(むさし)の剣」や「JIN-仁-」を描いた村上もとか氏が担当している。
ちまたではこのイラストに賛否両論あるようだが、あえての起用だろうから、否とは言えない。
私?
私は別にいんじゃない、と思ったけど、胴の色は中身を反映させて欲しかったな。それと、文庫で帯を巻くことを意識したのか、絵が小さく縮こまっている気がする。やや不満。

この作品は、登場人物は「バチスタ」や「ジェネラル・ルージュ」や「ジーン・ワルツ」に出てくる人びとだが、舞台は20年ほど前だ。
剣道を軸にした青春物だから、上記の作品と同じような雰囲気を期待すべきではない。
まあ表紙を見れば全然違う物だとわかるだろうけどネ。青春小説。スポ根ですよ!

速水は、ジェネラル・ルージュの頃よりもずっと真面目だ。青いのよー。
私の脳内イメージは、映画版速水の堺雅人だった、けどでも堺氏は今36歳、マイナス20で16歳。若すぎる。
テレビ版速水の西島秀俊なら39マイナス20で19歳…少し若いけどアリか?

清川は「えっ同じ人なの?」と思うくらいヤンチャな語り口の青年だ。20年たって「ジーン・ワルツ」の清川になるの?ふーん。
彼はBOOWYが好きらしいので、ファンの方はちょっと嬉しいかも。
脳内イメージは無かった。もしジーン・ワルツを観ていたら田辺誠一だった…か?年頃は合うけど何か違う。

この二人は別々の大学、ライバルだ。
剣道の大会で、団体戦の優勝を目指して、まさに「しのぎを削る」。
それぞれがそれぞれのやり方で、剣の道にうち込む。
ザ・「真剣」!
それが彼らの人生の全てだ。もちろん視野が狭い。でもはたち前後の運動部ってこんなカンジじゃないかな。

構成が面白い。
速水を中心とした三人称と、清川による一人称の文章がほぼ交互に記載される。
この形式は今までに無かったような?とても新鮮だ。
でもなぜ速水の部分は一人称にしなかったんだろう?大会の部分だけ三人称にしたらもっと効果的だったのでは。

大会のシーンは、中間部と最後に2回ある。
それぞれの結果は秘密にしておく。
が、一つだけ書こう。途中でちょこっとはずしておいて、最後に見せ場を持ってきたのは上手かった。

偉そうに書いてしまったが、私はあいにく剣道を知らないので、「上段に構える」「肩に担ぐ」という文字を見て、ポワーンと想像できる程度だし、「切り落としって何…?」というカンジなので申し訳ない。
やった事がある人は面白さ倍増なのかな。

裏では、「ブラックペアン1988」の話が同時進行しているらしい。
速水、田口、島津が大学病院に実習に行くくだりが出てくる。

また、高階院長はまだ講師で、赴任したばかりだ。同じ人物、同じ時期なのに、ブラックペアンでは若造に見えて、この作品では超大人に見える。すげーかっこいい。
目線が違うからかな?面白いね。

ふと思った。
この作品の速水と清川は、作者の青春時代の揺れ動く二面性で、彼らを導き、からかい、高みから見つめる高階は、今の作者の分身なのではないか。
えっ、すげーかっこよすぎるんですけど。じゃあ違うか。(失礼!)

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