SSブログ

映画 「ジョゼと虎と魚たち」 [映画]

ジョゼと虎と魚たち Blu-ray スペシャル・エディション

ジョゼと虎と魚たち Blu-ray スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray

ジョゼと虎と魚たち [DVD]

ジョゼと虎と魚たち [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: DVD

映画 「ジョゼと とらと さかなたち」
監督:犬童一心 原作:田辺聖子 出演:妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里ほか
(Amazonにてブルーレイ版:¥2793、DVD版;1863)
オススメ度 ★★★☆☆

何かつい最近の作品のような気がしていたのですが、もう10年前なんですね。
DVDが売ってなくてビックリ。
↑は安いのをリンクしましたが、品薄なのか、軒並みDVDの方が高額でした。

↓ネタバレあります。



虎と魚がどんな風に出てくるのかな?と思っていたら、
映画では虎も魚もワンシーンだったので、「ティファニーで朝食を」的なこと?と思いました。
(ティファニーで朝食を、というのは原作では単なる『もののたとえ』にすぎないのだが、
 映画ではオードリーがお店の前でパンを丸かじりするという直接的なシーンが設定された。)
田辺聖子さんの原作は未読なので、比較できないのですが。

冒頭、主人公のつぶやきと共に、ピントが少し外れた「旅行の写真」が出てきます。
その写真と主人公のモノローグによって、主人公とジョゼが既に疎遠なのだとわかります。

 大学生の主人公は一人暮らし。雀荘でアルバイトをしている。
 セックスフレンドは既にいるけど、可愛い先輩ともうまくいきそう。(セックス的な意味で)
 ある時、坂道を暴走する乳母車と騒ぐ老婆を目撃。
 あわてて乳母車に駆け寄ると、中にいたのは年頃の女性だった。
 足が悪い彼女の「散歩したい」という要求に応えて、老婆は毎日大きな乳母車を押していたのだ。
 老婆と彼女の家でおいしい朝ごはんを食べた彼は、すっかりその家…そして乳母車の中にいた「ジョゼ」を気に入ってしまい、入り浸るようになる。
 やがて二人は愛し合うようになり、主人公は、ジョゼを実家の家族に会わせるべく、友達から車を借りる…。

妻夫木さんが、何かいい雰囲気でした。
真面目そうだけど頼りないとか、しっかりして欲しいのにポキっと折れちゃうとか、
そういう若者の役が似合っていると思いました。
あ、のび太くんか。

*****

さて、この映画は、主人公が色々な女性と性行為をするため、
公開当時、その事がものすごくクローズアップされていた記憶があります。

確かに、池脇千鶴さんはもちろん、「時効警察」のサネイエ役=「野田ともうします。」の野田さん役の江口のりこさんも、胸をあらわにしますから、インパクトはありました。
(ただし上野樹里さんはあらわにしないです。そのへんを期待した人は残念でした。)

でもエロじゃないんです。
この映画では、性行為は「男女の会話」的なものだったと思います。
お茶やお酒を飲みながら会話を楽しむのと同じ次元に、ベッドの上で楽しむ行為がある、という感じ。
まるで無邪気でした。

私は、「彼がたやすく女性とベッドインする若者だ」という事が、
とても重要な、意味のある設定だと感じました。

なぜかというと、彼はジョゼとはなかなか「性行為による会話」を行おうとしなかったからです。
彼は最初のうち「ジョゼとセックスをしようと思わなかった」と思います。
思いつきもしていない感じ。

彼女の足が不自由な事も、理由の一つかも知れませんが、
それ以上に、彼は、性行為抜きでジョゼとの会話が楽しかったのでしょう。
彼とジョゼのコミュニケーションは、彼にとって特別なものだったのでしょう。

要するにジョゼは、彼にとって、それまでの女性とは違う存在だったのでしょう。

「帰れ」と言われて帰ろうとすると、
「帰れと言われて帰ろうとするヤツなんか、帰れ」と言われる。
このジョゼの言語力。グッときますね。

主人公は、イイカンジだった女性と別れてジョゼを選びますが、
それは、純粋にジョゼと一緒にいる事が楽しかったからだと思います。

フラれた女性が、ジョゼに「ずるい」と抗議をしにいくシーンがあります。
彼がジョゼの障害に縛られて、「放っておけない」と考えたから自分と別れた、と思ったからです。
障害を利用するなんてずるい、という事かな。

でも、事実はそういう事じゃなくて、
彼はただジョゼが好きだから、一緒にいる事を選んだだけ。
元恋人だって、多分それを知っているけど認めたくなくて、ジョゼを見下す方を選んだのでしょう。

ただ、ある意味、元恋人の主張も一理あると思います。
この映画では、ジョゼの障害が、実に魅力的に描かれているから。
障害がチャームポイントになる瞬間って、本当にあるのだろうと思います。

一昔前なら、「サナトリウムの美少女」も、
同じような事ではありませんか?
結核は障害ではないけれど。

「ジョゼ」の名は、彼女が気に入っているサガンの「一年ののち」という小説から取られています。(私は未読)
主人公は、続編を読みたがるジョゼのために、古本屋で「すばらしい雲」を見つけてあげます。
これらのモチーフも、映画に彩を添えています。

サガンを好む、足と、口の悪い女性。
サナトリウムの、病弱で無口な美少女。
二人は、色違いの相似形です。
今に幸せはあっても、未来は無いのです。

(アラ、何だかリリカルな文章になってしまったわ。)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。