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小説 「過ぎ去りし王国の城」 [小説]



小説 「すぎさりし おうこくの しろ」
宮部みゆき 角川文庫 (¥734 税込) オススメ度 ★★☆☆☆

宮部さんの作品、koboに入ってくれないのです。
なるべく本を紙で買いたくないのですが、仕方がありません。
あ、でもそれがオススメ度が低い理由ではありません。

以下、超ネタバレ。


中学3年生の男子が主役です。
ジャンルとしては、なんだろう、SFミステリ?

同僚に宮部みゆきさんの「時代小説」ファンがいるのですが、
現代ものは「嫌い」と言って読みません。
その気持ち、何か、わかる。
宮部さんの現代ものは、ツライのが多いんですよね。

これもそうです。

ある日、彼は不思議な絵に出合います。
おそらくこの本の表紙に描いてあるような、古城の絵です。
触れると、その中に自分が入れるような…。
ちょっと、RPGみたいな。

彼は、一緒にこの絵について調べてくれる仲間を見つけます。
仲間を増やすあたりもRPGっぽいかも。

話自体は、面白いんです。
興味をひかれて、ぐんぐん読みました。
でも途中から私は「何か変だな?」と感じはじめました。
お話自体ではなくて、お話の進み方に、違和感を感じました。

「主人公が、だんだん主人公でなくなっていく」
という感じ。

私は、「中学生の少年が主人公」という認識のもと、
「彼が謎を解明するのだろう」
「彼が話の方向を決定するのだろう」
と思って読んでいました。

が、じっさい、話を展開させたのは、彼が見つけた仲間たちでした。
しかも、ラスト近く、最も肝心な場面には彼は居合わせず、後から仲間に話を聞いただけ、という…。
こんなのあり?

私が最もフラストレーションを感じたのは、途中、主人公には「理解できない」理屈が登場したことです。
(この理屈は、ちょっとSF好きの人ならば、「あーあるある」と言いたくなる理屈です。)

私が期待していたのは、この理屈を主人公が言い出して、
仲間が「えっ、そうか!なるほど!」と言うシーンでした。
それなのに、それを主人公が理解出来ないなんて。
あまりにも徹底した主人公排除。

確かにそういうことってあるよね。
人生の主人公は自分だけど、自分抜きで話が進むことって、確かに、あるよね。
でも、この小説にそんなリアルが必要だっただろうか。

もちろん小説は、当然、作者が決めた進め方で進みます。
ましてや作者は宮部さんです、新人ではないんです。
わざとなんですよね?
王道の進め方は、
「少女から不思議な絵のことを相談されて、少年がSF的な知恵を貸す」
だと思いますが、それを、あえて避けたわけですよね…。

うーん、でも私には、どうしても必然性が感じられません。
ただ「変」に感じてしまったんです。

この人が主役だと思って映画を見ていたら、
違うヒーローが現れて、その「主役であってほしい人」は、
ただヒーローの周りでキャーキャー騒ぐだけの役でした、みたいな。
(わかりにくいか。)

まあそんな感じだった、ということで。
なんじゃそりゃ。
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