漫画版 「精霊の守り人」２、３ [漫画]
- 作者: 藤原 カムイ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: コミック
- 作者: 藤原 カムイ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2008/08/22
- メディア: コミック
漫画版 「せいれいの もりびと」（まもりびとではなく、もりびとと読む）
原作：上橋菜穂子 漫画：藤原カムイ スクウェア・エニックス ガンガンコミックス（￥390 税別）
オススメ度 ★★★★☆
１巻目のレビューはこちら。
２巻になって、「トロガイ」という変わったばーさん（実は高名な呪術師）が登場、がぜん面白くなってきた。
また、１巻では、状況の紹介が中心だったので印象が薄かったけれど、やっと皇子チャグムがどんな子なのか見えてきた感じ。ノホホンポヤンとしてるだけではないのよね。
物語が動いてきた、という感じ？
…と、２巻を読んだ時点で思っていて、店頭で３巻を見つけ、
「あ、３巻だ。
えっ、何ぃー！？おわりだとう？」
と、かなりがっかり。
いよいよこれから、と思っていたんだけどなー。この残念感、「皇国の守護者」並みだわね。（あーそういえば「皇国」の続きについてまだ書いてなかったわ。）
最終巻の３巻は、またまたバタバタした印象になってしまった。
逃亡生活の中にも、のんびりとしたエアポケットのような時期もあるんだけど、残念ながらそれが実感として感じられない。
皇子を任された女用心棒「バルサ」が、なぜ今のような生き方をしているのかを語る場面もあって、できればこのへんはもっとゆっくりした運びにしてほしかったなあーと思う。
やっぱり、漫画の割には文字数が多すぎるんだよね。
かといって、カットしてしまったら、物語が薄っぺらな感じになってしまうだろうし。
さて。
チャグムを狙っているのは、人間だけではない。
彼の体の中に宿っている不思議な卵を狙って、追ってくるもの（怪物？）がいるらしい、ということがわかる。（じっさいは彼自身が目的ではないのだが、結果として彼が狙われることになる。）
卵がかえれば、やがて雨を生みだす生き物になるので、この追っ手から卵を守らなければ、国土はひどい干ばつに襲われることになるのだ。
こういったことを、トロガイと、トロガイの弟子でありバルサの幼なじみでもあるタンダは、言い伝えなどを手がかりにして、つかんでいくことになる。
また、当初は、国を守るために皇子の暗殺を考えた者達（皇子の父親である「王」、王付きの「星読み」など）も、実は皇子を安全に守ることが国を守ることにつながることに、やっと、気づかされる。
やがて、「王一派」対「皇子一派」の関係は、対立から協力へと変化していく。怒涛のように。
この変化が快感。
伏線が集結して謎がほぐれていく快感と、事態が良いほうへ変わっていくのではないか、という予感から起こる快感。
このお話が愛好される理由は、このへんにもあるのかも。
（なかなかこの感じが出てこない「十二国記」は、よっぽど、マゾヒスティックですよね。）
はっ。
この漫画はほぼ原作をなぞるように描かれているので、私のこの書き方では、原作をほめているだけになってしまうわ。
それなら漫画じゃなくて原作を読めば良いじゃない、ということになってしまう。
いやいや、私は、多少の難（文字多すぎ）はあるけれど、漫画ならではの「腑に落ちた」シーンがいくつかあったので、漫画もオススメだと思っています。
私が好きなのは、３８ページから４０ページにかけて。機微～。
異世界が見えてしまう４３ページから４９ページは、頭で理解していても見えなかったものをキッチリ見せてもらった感じ。同じく、１０６ページから描かれるアクションシーンも。
十四話から十五話にかけての表現は、恐らく漫画家のオリジナル解釈ですよね？原作にはこういうシーンはなかった（と思う）けれど、でもこれで良いと思った。
うーん、返す返すも、最後がまた、文字だけで説明されているのが残念。
ローマの休日みたいなシーンがあっても良いじゃないですかー。（これネタバレか）
続編があるかのように描いてあるけれど、漫画のほうでも、続編があるんでしょうかね？
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原作のほうの感想を書きかねています。
書きかねて書きかねて、何度も読んでしまっています。
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