小説 「夢見る黄金地球儀」 [小説]
小説 「ゆめみる おうごん ちきゅうぎ」
海堂尊 創元推理文庫(¥640 税別)
オススメ度 ★☆☆☆☆
表紙に小さく、「DOES THE GOLDEN GLOBE DREAM OF DEEP SEA?」と書いてある。
目次の直前の部分(前づけ?正式には何と言うか知らない。)にも書いてある。
そして、プロローグには、「黄金地球儀は深海の夢を見る」とある。
これは、P・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のパロディであろう。関連性は無いようだけど。「○○は××の夢を見るか」は、もじりの定番だよね。
(↓昔の表紙の方が好きかも~)
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
- 作者: フィリップ・K・ディック
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/03/01
- メディア: 文庫
さて、この作品は、いわゆる「バチスタ」シリーズの舞台となっている、桜宮市でのお話。
バチスタスキャンダルの頃よりも、少し未来の話だ。
病院を舞台にしているわけではないのだが、「ナイチンゲールの沈黙」その他の登場人物が、意外な形で出てくるので、シリーズのスピンアウトと言えなくもないと思う。
いくつかの作品に、「桜宮市が黄金の地球儀を水族館に展示している」というくだりがあったと思う。
(作者は『ふるさと創世』を茶化しているのだろう。お金が無いお金が無いと言っている今から思えば、信じられない政策だもんね!)
この作品は、ある男が、ある理由から、その地球儀を盗もうとするお話だ。
ジャンルとしては「コンゲーム」(詐欺もの)になるらしい。
創元『推理』文庫だし。
盗もうとするきっかけは、「ええ~?」と思わず脱力して笑ってしまうような事。
そして、盗み出す方法も、奇想天外。
そこに、桜宮市の内情(裏)話や、男の周囲の人々のユニークさ、新種のホヤ(ボンクラボヤなど)にまつわる様々な事がからんできて、コメディ要素も豊富だ。
でもーーーー。
何だか物足りなかったんだよナ~。
海外のコンゲームものと比べてはいけないのかも知れないけれど、「お茶の間・ドタバタ・コンゲーム」という感じだったなあ~。
ていうか、これ、コンゲームなのかなァー??
途中、ハラハラ感や、コンゲーム独特の「してやられた!」という感覚が薄かったんだー。
最後に行く前に、「やっぱりそうなのねー。」と思っちゃったもの。
やっぱりここは、最後の最後で、「あっ!そうだったのか!」って思いたいじゃない?
多分、伏線を張りすぎて、読者が予想しやすくなってしまったんじゃないのかなあぁー。
主人公の友達の正体も、うーん、ハッキリ言って、白鳥でないのなら、別にどんな身分だろうと誰であろうといいですよ、って感じ、…です…すみません。
ちょっとキャラがかぶっているのが、そんな気持ちにさせるのよね多分。
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