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小説 「名短篇、ここにあり」 [小説]


名短篇、ここにあり (ちくま文庫 き 24-1)

名短篇、ここにあり (ちくま文庫 き 24-1)

  • 作者: 半村 良
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/01/09
  • メディア: 文庫


小説 「めいたんぺん、ここに あり」
選:北村薫、宮部みゆき ちくま文庫(¥760 税別)
オススメ度 ★★★☆☆


リスト(12編)
 となりの宇宙人 … 半村良 (はんむら りょう)
 冷たい仕事 … 黒井千次 (くろい せんじ)
 むかしばなし … 小松左京 (こまつ さきょう)
 隠し芸の男 … 城山三郎 (しろやま さぶろう)
 少女架刑 … 吉村昭 (よしむら あきら)
 あしたの夕刊 … 吉行淳之介 (よしゆき じゅんのすけ)
 穴―考える人たち … 山口瞳 (やまぐち ひとみ)
 網 … 多岐川恭 (たきがわ きょう)
 少年探偵 … 戸板康二 (といた やすじ)
 誤訳 … 松本清張 (まつもと せいちょう)
 考える人 … 井上靖 (いのうえ やすし)
 鬼 … 円地文子 (えんち ふみこ)
 解説対談 … 北村薫、宮部みゆき



帯に、「意外な作家の意外な逸品」と書かれています。
軽い読み物がほしくて購入したのですが、実際は、そう軽くもなかったです。読み応えがありました。

1 となりの宇宙人 … 半村良 (はんむら りょう)
宇宙人が、おっこちてくる話。
アパートの住人たちが「困ったときはお互い様だから」と宇宙人の面倒を見るのがオカシイ。落語みたい。
解説でも「高座にかけてもらいたい」と言ってます。(SFを原作にした落語は結構あるので)

2 冷たい仕事 … 黒井千次 (くろい せんじ)
接待のために旅館に泊まった男たちが、宴会が終わった後に部屋に戻って、霜がついた冷蔵庫を発見する。そして燃える!
ああこういう人いそうだよね、と思いました。面白い。

3 むかしばなし … 小松左京 (こまつ さきょう)
タイトルから連想して、「くだんのはは」のような怖い話?と思ったら。結末と感想は書かないでおきます。

4 隠し芸の男 … 城山三郎 (しろやま さぶろう)
今でも「隠し芸」を必要とするような宴会ってあるのかな。サラリーマンの泣き笑い。
苦笑しつつ、社会人としては、うすら寒い気持ちにもなります。

5 少女架刑 … 吉村昭 (よしむら あきら)
献体に出された少女が語り手となる、不思議な作品。
あらま。「夏と花火と私の死体」で私が高評価した「視点」が、すでにこの作品に!解説でも、北村氏が「乙一君(に)(中略)先行する作品がここにある。」と言っています。そうだったのか。
読みながら連想したのは、澁澤龍彦の「少女コレクション序説」の、挿絵(挿写真か?)の四谷シモン作のお人形の印象。ずいぶん前に読んだのでハッキリしないのですが、しきりと頭に浮かんできました。
私は、この短編集の中で一番この作品が気に入りました。でも、「気持ち悪い」「気分が悪い」と思う人も多いかも知れません。

6 あしたの夕刊 … 吉行淳之介 (よしゆき じゅんのすけ)
不条理もの。「以下のことは、夢なのか現実なのかわからないのだが」といった断り書きがあるのが奇妙。「本当だとしたらSFだ」と言っているのがナンダカおかしい。

7 穴 ―考える人たち … 山口瞳 (やまぐち ひとみ)
そのまま読めば、ちょっとファンタジックにも読めるのですが、私は、日記っぽいと思って読みました。おかしなネーミングは、作者がつけた呼び名じゃないのかしら?

8 網 … 多岐川恭 (たきがわ きょう)
連作の中の1作のようです。この調子で続くらしい。
最後に「バカだー」と思いました…。やはり苦笑を誘う作品。

9 少年探偵 … 戸板康二 (といた やすじ)
探偵といっても、殺人事件を解決するわけではなくて、日常の困りごとを解決する少年が描かれます。
なんだか古きよき時代の、子供向けの雑誌に載っているような、あるいは学級文庫に入っていた、あの独特の絵柄の本みたいな作品。ノスタルジック。

10 誤訳 … 松本清張 (まつもと せいちょう)
語り手が、ある出来事について「こうだったんじゃないのかな」と考察しています。ウン、ありそう。
書き方によっては、笑い話にも出来るかも。そうしないのが松本清張。って感じ。松本清張ってこういう作品も書いていたんですね。

11 考える人 … 井上靖 (いのうえ やすし)
ミイラについてのお話。体験談ぽく見えますが、創作なのでしょうか?あるミイラの背景について、仲間同士で想像して話していくのが、ちょっと面白かったです。
うといので、本当にこういう事実があるのかどうかわからないのですが。

12 鬼 … 円地文子 (えんち ふみこ)
こわっ!
何かに襲われるような直接的な怖さではなくて、心の中に潜む暗闇の不気味さを知って、怖いと思う。女って怖ーい。
百鬼夜行抄(このリンクは私のレビューへのリンクです)の、文庫版第3巻に収められている「夏の手鏡」という作品を連想しました。
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