小説 「ル=ガルー 忌避すべき狼」 [小説]
小説 「ル=ガルー きひ すべき おおかみ」
京極夏彦 講談社ノベルス(¥1470 税込)
オススメ度 ★★☆☆☆
ずいぶん前に買ったのだが、最初の数ページだけ読んで放置していた。
(私が読んだのは初版だったので、表紙の絵も全く違う。また、誤字もあった。今は修正されているのだろうと思う。)
なぜ放置していたかというと、読みにくかったから。
どう表現したら良いか…「ギャル文字が筆で書かれている」カンジ、とでも言おうか?
中身と文体が合致していないカンジ。
違和感。
この小説は、ネットを利用して皆から「近未来」の設定を集めて書かれたものらしい。
つまり、この小説の中で描かれる社会機構や日常的なシステムなどは、作者が考えたものではなく、皆の考えの寄せ集め、という事だ。
(ただし私はその意見そのものは見ていないので、どの程度反映しているか不明。)
まず、時代が、これまでの世界とは全く違う。近未来という設定は京極夏彦の作品には無かったのでは?
また、十代の少女数人と、恐らく三十代の女性(カウンセラー)の状態が交互に語られる、という形式の作品も、今までに無かったのではないかと思う。
でも。だけど。
語り口(文体)はこれまで通り。
(↑…みたいな文体なんだよ)
それが冒頭に書いた「違和感」の原因なんだな。
・近未来。「学校」という過去の制度は、既にない。
子供たちは自宅で端末を使って全てのことを学び、「リアル」に触れることはほとんど無い。
それでも、コミュニケーションだけは直接学ぶ必要があるので、定期的に
コミュニケーション授業(的なもの)を受けている。
その時の知り合い(「友達」とか「級友」の感覚ではない)が、連続殺人事件に巻き込まれたらしい。
少女たちは、少女たちなりに、その真相に迫っていく。
ミステリずれしていると、途中で伏線に気づくので、どんでん返しに余り驚かないで終わってしまうんだけど、まあアリな流れだと思う。
思わせぶりなセリフは従来通り。
話は面白いんだよ。
でも毛筆だからさー、途中で、読んでる側の精神力が途切れちゃうんだよね。
漫画も出ているし、映画にもなるみたいですね。
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