小説他 「ジェネラル・ルージュの伝説」 [小説]
ジェネラル・ルージュの伝説 (宝島社文庫) (宝島社文庫 C か 1-9)
- 作者: 海堂 尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2010/06/04
- メディア: 文庫
小説ほか 「ジェネラル・ルージュの でんせつ」
海堂尊 宝島社文庫(¥580 税込)
オススメ度 ★★★☆☆
収録されているのは、
1.はじめのご挨拶
2.伝説 1991 (短編小説)
3.疾風 2006 (短編小説)
4.残照 2007 (短編小説)
5.海堂尊物語 (1961年~2010年4月、後半は日記っぽい。)
6.自作解説 (31作品について、作者自身による解説、成立背景など。)
7.桜宮市年表
8.登場人物リスト
9.用語辞典
10.医療用語辞典
11.おわりのご挨拶
…と、盛りだくさん。
(以下、激しいネタバレもありますのでご注意を)
「伝説 1991」
城東デパートの火災=ジェネラル誕生の瞬間。これまで人づてだった現場がやっと見られた、という感じ。
並行して、水落冴子(歌手)の若き日も描かれる。
ちょっと気になったのは、後に冴子のマネージャーになる城崎に美人の姉妹がいるらしい、というくだり。これまで気にしていなかったけど、彼は「螺鈿迷宮」の桜宮病院の息子なのか?
さて、この「伝説…」にも、私がどうしても好きになれない、いや、大嫌いな要素が含まれていた。
(まただよ…。海堂作品には時々この要素があって、私はすごく悲しくなる。)
先輩の医者が、手術の真っ最中に、「どうだ新人、この患者やってみるかー?」みたいな感じで、手術の一部を任せるシーンがあるのだ。しかも、「失敗したらいい薬になるかと思った」的なことを後で言うのだ。
これは、余りにも礼を欠いていないだろうか?相手はモノじゃないんだよ、人間だよ?
患者を、医者のすごさを示すための道具みたいに、まるで腕試しの品物みたいに描くのは、たとえフィクションであってもやめて欲しい。フィクションであると分かっていても嫌だ。
「疾風 2006」
速水と対立する、事務長の『三船』目線の「ジェネラル・ルージュの凱旋」。
私は映画を見ていないので、私にとっての三船は、テレビ版の利重剛さん。イヤミっぽい演技(私の脳内だけど)がステキ。
ラストシーンの涙には、「あらまぁ」と思った。『自分は、速水を追い出したと思っていたが、実は、速水を失ったのではないか』と思ったのだろうな。
「残照 2007」
「ジェネラル・ルージュの凱旋」の後の救急。
部長席は空席のまま。部長代理のままの佐藤ちゃん。
佐藤氏の、現実の医療がカッコいいわけがない、だからカッコいい面だけ描くのには絶対反対、という気持ちはわかるけど、でも、テレビの中のアリエナイカッコよさに憧れて医者になる人がいても、それはそれでいいんじゃないか?とも思う。
「桜宮市年表」
1870年頃~2022年。って、え?これを見るまで、海堂氏が未来の事まで書いていたのを知らなかった。
2006年12月の作品欄の書き方、ちょっと変…。「疾風」はもうちょっと右側寄りだし。レイアウト的に仕方ないのかも知れないけど。
「登場人物リスト」
名字、名前、所属、備考(職業など)が記載されているのだが、欲を言えば「登場作品」の欄も欲しかった。
「用語辞典」
架空の『ハイパーマン』も現実の『たまごっち』も同列で載っているのが面白い。
ところで、ちょっとしたスパイスとして描かれていると思った「ハイパーマンバッカス」が、この後も連綿と続いていくのがわかってビックリした。
是非映像化して、グッズも出して欲しい!!
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