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小説 「ユージニア」 [小説]

ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/08/25
  • メディア: 文庫

小説 「ユージニア」
恩田陸 角川文庫(¥664 税込)
オススメ度 ★★★☆☆

↓ネタバレあり、注意。

昔、旧家のパーティーで、大量毒殺事件があった。
数か月後、自分が犯人だと言う男が自殺し、事件は、詳細不明のまま、一応決着する。
10年後、この事件のルポ『忘れられた祝祭』が出版され、ベストセラーに。この本の筆者(インタビュアー)は、事件の発見者(当時は子供)だ。
そして現在(さらに10年ほど後)、ある人物(関係者の関係者。つまり直接の関係者ではない。)が、『忘れられた祝祭』の作者と、事件の関係者に再びインタビューをして歩く。

「あのとき、本当は何があったのか?」
「なぜあんなことが起きたのか?」

宮部みゆきの「理由」と、ちょっと似ている構成。読者が、取材者についてよくわからないまま進んでいくのも、似ているかも?

全体に神秘的な雰囲気。とてもミステリアスだ。
しかし、ミステリではない…ような…。
ミステリアス≠ミステリー。

読者は、ある程度、真相に迫れるんだけど、あくまでも「ある程度」なので、白黒ハッキリしたい人には向かないんじゃないかなー。
あと、事件が、余りにも「偶然」に左右されすぎ。これって「事故」って言うんじゃない?

それでも、これら全てのきっかけになったと思われる人物の力=魅力によって、何か超自然的な力が働いたんだろう、という解釈が、出来…出来…出来なくなっちゃうんだよねー。
その要素が無くなっちゃうってのは、どういうこと?

途中まではすごくいい(★★★★☆くらい)んだけど。
最後のほうになって、アレ?アレレ?と失速。

「絶対、アイツのせいだ!」と鼻息荒く本人の所に押しかけたら、すっかり(悪い意味で)様変わりした本人が、「えーでもー私だって被害者なんだし、わかってくれるでしょー?」的な事を言い出して、ギギギギそんなものわかってやれん!しかし受け流されたこのオレの怒りの矛先はどこにやればいいんだ!みたいな。
例えが分かりにくいか。

まあでも、20年もたてば、魔少女がただのオバサンになっちゃっても仕方ないのかな~。
「それも作戦だった」と解釈できなくもないけど、ちょっと無理。
先天盲だった、という設定なら、この変化もあり得るかも?でもそうすると、大事な伏線が無くなっちゃうしね~。
どうすればいいのよ…。

ユージニア

ユージニア

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/02/03
  • メディア: 単行本

こちら↑はハードカバー版。
文庫版の最後に、装丁などについての記載があるので、ハードカバーではかなり変わった見た目(例えば、フォントが傾いていたりすることや、表紙が透けて見えるようにしてあることなど)であることがわかった。
へえー。
恐らく、内容とあいまって、いっそうミステリアスになるのでしょうね?
私は、パソコンのフォントは好きだけど、紙質や装丁など、本そのものにこだわるタイプではないので、買わないけどネー。

☆最近「多分こうだった、と思いたまえ。」と読者に結論を投げてくる作品を多くチョイスしてしまうのは何故なの私?
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