SSブログ

映画 「ソロモンの偽証」その1 [映画]

テレビで観ました。
書いていませんでしたが、原作も読みました。
この記事では、映画について書きます。原作との比較は別の記事に書きます。


ソロモンの偽証(〔1〕(第1部)) [ 宮部みゆき ]ソロモンの偽証(〔2〕(第1部)) [ 宮部みゆき ]ソロモンの偽証(〔3〕(第2部)) [ 宮部みゆき ]ソロモンの偽証(〔4〕(第2部)) [ 宮部みゆき ]ソロモンの偽証(〔5〕(第3部)) [ 宮部みゆき ]ソロモンの偽証(〔6〕(第3部)) [ 宮部みゆき ]





映画 「ソロモンの ぎしょう」
原作:宮部みゆき 監督:成島出 出演:藤野涼子、板垣瑞生、前田航基、尾野真千子、余貴美子ほか(¥6000くらい) 
オススメ度 ★★☆☆☆
原作のおすすめ度は ★★★☆☆

ネタバレ少々あります。↓


今から20年くらい前の話なので、携帯電話は無いし、ネットって何ですか?って感じ。
だから、電話と手紙が重要なツールになります。
そうでないと成立しない話かも。

**********

<あらすじ>
 春、中学校に女性教師が転勤してきます。
 この学校は、彼女の出身校です。
 彼女は校長室で、23年前のことを現校長に話し始めます。

冬の朝、野田君と共に中学校に来た藤野さん(のちの女教師)は、雪にうずもれた死体を発見します。
それは同級生の柏木君で、どうやら屋上から落ちた、もしくは飛び降りたようでした。
以前から不登校で、悩みがあったのだろう…という事で、自殺と断定されました。

その数日後、藤野さんと校長に、
「柏木君は自殺ではない、大出(おおいで)君に落とされたのだ。自分は現場を見た。」
という告発状が届きますが、学校も警察も、ウソだと判断します。
大出君はいじめっ子グループの中心人物ですが、殺人まで犯すとは考えにくく、また、目撃者が偶然夜中に学校の屋上に居合わせるのも、非現実的だからです。
そこで、生徒たちを全体的にカウンセリングすることで、このようなウソの告発をした生徒を癒やそう、という事になります。
藤野さんは、この対応に疑問を感じながら、いち生徒の立場としてはどうすることもできません。

やがて、マスコミがこの件を報道し、うちうちの対応では済まなくなります。
実は告発状はもう一通あって、担任の森内先生に届いた分が、流出したのです。
大騒ぎになり、ついに学校は父兄への説明会を開催しました。

そんな中、以前大出君にいじめられた事がある生徒が、交通事故で亡くなります。
大出君の実家も火事(たぶん放火)を出し、祖母が亡くなります。
いずれも柏木君の死と何か関連が?と誰もが思いますが、何も明らかにはなりません。

渦中にいる生徒には何も知らされないまま、藤野さんたちは進級します。
この状況に強い疑問と反発を感じた藤野さんは、学校で模擬裁判をして、たくさんの人に証言してもらう事で、何が本当で何が嘘なのかをはっきりさせたい、と思います。

(学校側は裁判に反対で、ひともんちゃくありますが、ここでは省略。)
裁判は夏休み中の5日間、行われることになりました。

藤野さんは「大出君は有罪」という検察の立場で、調査を始めます。
一方、大出君の弁護人は、柏木君と友人だったという神原君(他校の生徒)で、大出君本人から反発されながらも、彼のアリバイを立証しようと奔走します。
(弁護人の神原君には暗い過去がありますが、ここでは省略。)

8月中旬、裁判がスタートします。
元々の争点は「大出君は犯人か否か?」という点でした。
しかし、知らず知らずのうちに、「なぜこうなったのか?」あるいは「なぜ、こうならなければならなかったのか?」ということにシフトしていきます。

裁判の最終日。
もはや検察も弁護もなく、ある人物から「事実」が語られます。

**********

<映画の感想>

事実は事実であって、真実ではありません。
事実の証言には、証言する人のフィルターがかかるからです。
真実を語れるのは、亡くなった柏木君だけです。

柏木君という人物がどんな人だったのか、証言(というか回想)するのは藤野さんと神原君です。
これだけでは、柏木君がどんな人だったのか、わかりませんでした。
イヤな奴?痛い奴??
ピュアすぎ?
早熟?本当はただの子供???

この映画にはいわゆる「神目線」は無いので、いろいろと、疑問が残りました。
だから、あの行動に、理由も必然性も感じられませんでした。

映画は、出演者の顔のアップのシーンが、ものすごく多かったです。
涙のシーンも多かった。
表情で状況や心情が説明されていたと思います。

すごくいい表情でした。
複雑な心情が表現されているように感じました。
当然ながら「今私はこう思っているからこの表情をしています」と言葉にはされませんから、私の感覚です。

それはそれとして、
「いいんだけど、悪くはないんだけど、何か違うような…?」
という違和感も、ありました。
「私がみたかったのはこれだろうか?」
とも、私は感じていました。

この映画は、ミステリアスな死をきっかけに、それを取り巻く人々の心情や人間模様が描かれた映画。です。
しかし、私が期待したのは、ミステリ映画ではなかったか…?

小説(と映画)の「ガープの世界」の中で、ある人物が、
「人が本を読むのは、次がどうなるかを知りたいからだ」
的なことを言います。
私は、ミステリを好む多くの人が、この気持ちでいると思います。
だから途中で犯人が分かってしまうと、「あーわかっちゃった」と、ちょっと残念に思ったり、
誰かから結末を言われれば「ネタバレだ!」と怒ったり、するんですよね。

原作も映画も知らない方は、上記の「あらすじ」を読んで、
「最後はどうなるんだろう?」とか
「真犯人は誰だろう?」と思ったのではないでしょうか?
でも、映画では、それはサラッと描かれます。
そんなことは多分、二の次なのでしょう。

これが違和感の原因かもしれません。

映画の「ソロモンの偽証」は、ミステリ仕立ての人間模様映画です。
いわゆる、ミステリ映画ではないんですよね。
「何がどうしてこうなった」という事よりも、「それによってこういう感じになった」が重視されている映画だと思います。

そう思って見れば、素晴らしい映画だと思います。
ですが、あいにく私にはそう思えなかったので、星の数が少なくなりました。
あくまでも私の感覚ですけど。

次回は映画と小説を比べながら書きます。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。