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漫画 「家族八景」上・下 [漫画]


家族八景 上巻 (1) (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-1)

家族八景 上巻 (1) (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-1)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/03/05
  • メディア: コミック

家族八景 下巻 (2) (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-2)

家族八景 下巻 (2) (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-2)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/03/08
  • メディア: コミック


漫画 「かぞく はっけい」
清原なつの 原作:筒井康隆 角川チャージコミックス (各¥620 税別)
オススメ度 ★★★☆☆



私が漫画版ばかりレビューしているのは、筒井作品を読んだのがかなり、かなーーーり昔のことだから。
うーん、この際だから読み返してみようかなー、とも思うし、いやいやどうせ読むなら新しい作品を、とも思う。迷います。

さて、この「家族八景」での七瀬は、まだ18歳。以前書いた「NANASE」のお話の、少し前の話です。
「家族八景」の後に、「七瀬ふたたび」(漫画「NANASE」)、そして、「エディプスの恋人」と続きます。(所謂『三部作』ですね。)

「家族八景」は、短編集です。
人の心の声が聞こえてしまう超能力を持っている七瀬は、そのことがバレないようにするために、一箇所に長く住まないようにしています。特に何の資格も持っていない彼女は、短期間ずつ、住み込みのお手伝いさんをして生計をたてています。
彼女がどんな家庭で働いていたのか。そして、そこでどんなこと(まあ、トラブルですね)が起きたのか、が描かれます。

人間って、表面では取り繕っていても、心の中はドーロドロだったりしますよねえー。
そういうこと、知っていると便利かも知れないけれど、心情的には知りたくないですよねえー。
聞こえちゃうっていうのは、ツライでしょうね。

でも、この時の七瀬は、まだ「用心」が足りません。
若さゆえなのか、自分の能力を使って、家庭をかきまぜようとすることもある位。
彼女が本当にツライ思いをするのは、この後のことですものねぇー。

清原なつのは、実に心地よく原作を表現しているように思います。「心地よい嫌な感じ」とでも言おうか。変だけど。
ドライな感じの絵柄が、ドロドロを表現するのに、かえって良いのかも。

(上巻)

 【第一景】 無風地帯
 表面的には平和な4人家族、しかし心は本当はバラバラ。
 もしかしたら夫人には自分と同じ能力があるのでは?と七瀬は思うが、確認できず。

 【第二景】 澱の呪縛
 とことん不潔な大家族。あんなこと、こんなこと…。うひー。
 七瀬、耐えられなくて辞職。

 【第三景】 青春賛歌
 活動的で若々しい妻、しかし夫は「若作り」「中年らしくすれば良いのに」と思っている。
 そんなすれ違いから、やがて悲劇が。

 【第四景】 水蜜桃
 出世できないままに定年退職して家族からうとまれている父親、その妻、長男夫婦とその子供、高校生の次男。
 若さに執着するオヤジに襲われた七瀬は、窮地から逃れるために、やむを得ず「能力」を使ってしまう。

 七瀬と少年ドラマシリーズ 幕間滋民
 解説とはまた違う感じ。少年ドラマシリーズを主軸に、昔のSF界のことなど。
 やっぱ「七瀬=多岐川」支持者って多いなー。

(下巻)

 【第五景】 紅蓮菩薩
 助教授の夫(学生と浮気しまくり)、貞淑さを装いながら、夫を殺してやりたいとまで憎んでいる妻。
 この夫は心理学者で、昔、七瀬の父を被験者にして、超心理の研究をしたことがあり、七瀬の能力も調べたがる。
 七瀬は、追及を逃れるために、また「能力」を使ってしまう。

 【第六景】 芝生は緑
 二組の夫婦、互いに、あっちの夫(妻)の方が良いなー、と思っている。
 七瀬はイタズラ心を起こして、それぞれの夫婦をたきつけるが。

 【第七景】 日曜画家
 普段は会社勤め、休みの日に抽象画を描いている主人、売れない絵ばかり描いている彼に、イライラしている妻と息子。
 何でも抽象的な絵柄に変換して受け流す彼に、七瀬は淡い憧れを抱く。でも。

 【第八景】 亡母渇仰
 病気の母親の面倒をみるために雇われた七瀬。しかしその甲斐もなく、母親は亡くなってしまう。
 後に残されたのは、超マザコンの息子と、「いいかげんにしてよ」とウンザリの妻。
 最後に恐怖の結末が待っている。(生理的にコワイ!)

 「家族八景」解説 筒井康隆
 みごとだ、漫画になることによってより「文学的」になった、とベタボメ。でもその後「文学的すぎるかも」とも書いているけど。
 七瀬発表当時の嫌な思い出(直後の評価は低かったようだ)あり、最後には宣伝あり。ハハハ。

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