小説 「私が彼を殺した」 [小説]
小説 「わたしが かれを ころした」
東野圭吾 講談社文庫(¥730 税込)
オススメ度 ★☆☆☆☆
加賀恭一郎シリーズ第五作目を書くのを忘れていた。すみません。
↓ネタバレています。
シリーズ三作目の「どちらかが彼女を殺した」の趣向と同じく、この作品も巻末に袋とじ部分がある。
自分で推理したい人にはすすめるが、読み終わってスッキリしたい人にはすすめられない。
容疑者は更に増えて3人。
ということは、それだけ「殺されそうなヤツ」ってことだ。
いやーホントにヤなヤツなのよー!だからって殺して良いってものでもないけど。
だけど、どうにも被害者を気の毒に思えなかった。
被害者ごめんね。
しかも今回は容疑者それぞれも何だか気にくわず。
犯人を好きだと思う必要はないのだろうが、犯行にいたる心情を聞いても、
「んー。ねぇ。確かに相手も悪いけど…、でもよく考えてみて?それを招いたのはあなた自身じゃなくて?」
(柳原可奈子のライターキャラのイメージで)的なキモチになる。
被害者の恋人だけは気の毒だと思ったが、でも。
大体、そんな男と恋人になるなんて、「あんた何やってんのよ?」から始まって、「だから言ったでしょ?」と小姑先輩みたいな感情が沸く。
今回はヒントが更に巧妙に隠してあって、真犯人究明の推理も難しくなっている。
流れとしては、芥川龍之介の「藪の中」のようになる。
本人たちが言うことを証明する手だては、それぞれ、何もない。
ただ、それぞれの言い分をつき合わせていくと、矛盾点が出てくる。
加賀もそこを突く。
…んだけどーーー。わからない。
今回も、すぐに袋とじを開けてしまった。根性なし。
うーん、袋とじを開けても、もやもやした感じは変わらず、よくわからないと思った。
やっぱり可能性の話でしかないのね。偶然の要素も大きい。
誰が犯人でもおかしくない。別の容疑者が更に出てきてもおかしくない。(別の編集者とか、殺人現場になったところの従業員とか。)
書かれていたことは、私には決定打とは思えなかった。
動機を別にすれば、「実は本人の自殺でした」という真相もあり得る。
被害者の婚約者が犯人なら良いのに。むしろ真犯人であれ!!と思った。マジで。最後の最後に、彼女が「実は私が」と言うシーンがあってもおかしくないと思った。
そういう作品なんだろうな。
コメント 0