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小説 「あんじゅう 三島屋変調百物語事続」 [小説]

おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)

おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/04/25
  • メディア: ペーパーバック

あんじゅう 三島屋変調百物語事続 (角川文庫)

あんじゅう 三島屋変調百物語事続 (角川文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/06/21
  • メディア: 文庫

小説 「あんじゅう みしまや へんちょう ひゃくものがたり ことの つづき」
宮部みゆき 角川文庫(¥860 税込) オススメ度 ★★★☆☆

↓ネタバレあります。


「ことのつづき」の「あんじゅう」は、
「ことのはじめ」の「おそろし」の続きです。

読みきり短編集なので、1巻目を読んでいなくても、まあ、大丈夫ですが、
なぜ主人公がこんな反応をするのか?とか、
前回からのつながりが全然わからないままだと、話の深みが分からなくて勿体無いかも。
まず「おそろし」を読んだ方が良いと思います。

今回は、かなり現実から離れたお話です。
「おそろし」でも現実離れしていたんですけど、
何ていうのかなあ、前回は「ちょっと浮いている」だったのが、今回は「飛んじゃってる」みたいな?
この作品は、今市子さんの「百鬼夜行抄」(かなり不思議)にとても良く似ていると思います。
面白かったのですが、私は「ちょっと不思議」くらいが好みです。

収録作品
・逃げ水
・藪から千本
・暗獣
・吼える仏

※ひとくちメモ
「逃げ水」…胸に宿った『ひでり神』と折り合いをつけようとするお話。
「藪から千本」…姑の呪縛から逃れられない一族のお話。筒井康隆の「家族八景」を思い出した。
「暗獣」…これが「あんじゅう」です。悲しい『まっくろくろすけ』のお話。というかむしろ豪胆な夫婦の話?
「吼える仏」…集団心理の怖さ。「TRICK」みたい。

実は私は、タイトルを「あんじょう」だと思っていました。
関西弁の「あんじょう頼みます」的な、何か、ほのぼのしたお話だと思っていました。
よく見ると「あんじゅう」=「暗獣」だった!
2話目は、ゾッとするお話だったので、続く3話目の「あんじゅう」も、怖い話かな?と思って読み始めたら、かわいそうなお話でした。
可愛い≒可哀相。
泣けます。

上記の、4つのお話の他に、聞き手の「おちか」自身に関わる、全体を貫くテーマとしての「おちかの再生(再起?)」も描かれます。
彼女は、ある理由があって、自分の気持ちにわざと気づかないふりをしていますが、ほのかな恋心が感じられました。
おちか、まだ十代だものね。

普通の(?)百物語は、怪談100個。
三島屋の「おちか」が聞き集めるのは、怪談ばかりではなく、不思議な話もありますが、
果たして宮部さんは100まで続けるのかしら?

*****

最後に…これは個人的な好みの問題です。

私は、「なので」をセンテンスの途中で使うのは平気ですが、文頭で使うのに抵抗があります。
文頭で使って良いのは「口語」に限る、と思っています。
(口語でも、自分では使わない。)
要するに、地の文で「○○なので、○○でした。」は良いけど、
「○○でした。なので、○○…」は嫌、という事です。

今回、「あんじゅう」の地の文の文頭に、
「なので」が使われているのに気づいて、とても嫌でした。
何故「だから」を使わなかったのだろうか?

こんな事、ほとんどの人が気にしないのでしょうね。
でも私は気になっちゃうのです。
すみません。

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