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小説 「極北クレイマー」 [小説]

先に続編の「極北ラプソディ」を読んでしまった私。(記事はこちら
前日譚をやっと読みました。

文庫本は、以前は上下巻に分かれて出版されていて、現在は1冊にまとまったようです。
(私は上下巻版を持っています。ちょうど切り替わる直前だったようです。)
新装版 極北クレイマー (朝日文庫)

新装版 極北クレイマー (朝日文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/10/08
  • メディア: 文庫

小説 「きょくほく クレイマー」海堂尊 朝日文庫(¥798 税込)
オススメ度 ★★★☆☆
(↑既に続編を読んでいてドキドキ感が半減しているため、自分的には星二つでした。)

以下、ネタバレ注意。


主人公の外科医、今中は、スキー目当てに北海道極北市の市民病院に赴任する。
実はある事が原因で「飛ばされ」たのだが。

極北市は財政不良で、病院の設備も良くない。
もちろん医師の待遇も良くない。
まともに働いているのは産婦人科の医師と、その科の看護師と、主人公くらい。
(しかし主人公は非常勤。正規の医師以上の働きが期待されつつ、給料はかなり安いらしい。)

院長は何とかして予算を取ろうとしているが、うまくいかない。
まず、トイレが和式なんだよねー。イマドキ信じられない。
それに、寝たきりの人に「床ずれ」が起こっていても放置している病院なんて、ひどすぎる。
こんなひどい病院、実在するんだろうか?嫌だなあ。

余談ですが主人公は目当てのスキーが全然出来ないの、忙しいからではなくてゲレンデ整備が悪くって。
雪が降ると使えなくなるスキー場とか実在するんですかね?

やがてお約束的な展開で、病院は少しずつ改善されていく。

この時、海堂作品の読者ならすぐわかる、あの人が登場。
大きな体で、桃色のフチのメガネをかけていて、「とたとた」と歩く、美女なんだけど美女っぽくないあの人。
彼女はある「ミッション」のために、皮膚科医として短期赴任してくる。
(そんな電話1本で済むようなミッションの為にわざわざ来るなんてヘンすぎるんだけどね…)
まあ、でも、久々の出会いがちょっと嬉しい。
でもミッションが済むととっとと退場してしまって、ちょっと残念。

さて、実は市民病院では、今中が来る前に、一人の妊婦さんが死亡していた。
医師の処置に問題はなかったと病院は主張しており、家族も死因究明の解剖に同意しなかったため、「不幸な事故」とされていた。
だが、後になってから、亡くなった妊婦の夫(消防士)は「原因=真実が知りたい」と思うようになる。

「知りたい気持ち」を追求すれば、「病院を支えているといっても過言ではない重要人物に対する非難」につながることになる。
さて、どうする?

ここで、螺鈿ナントカの関係者も出てくるんだけど…。
うーん私はこのあたりの展開は好きじゃないなあ。
あまりにもケレンみたっぷり。ここだけダイエイドラマみたいなんだよね。
それに、彼女が嘘つきなのも気にくわない。消防士夫の立場がサイアクになる展開。極悪すぎる。

こんな陰謀めいたやり方では、本当の真実ではなく、捻じ曲がった真実しか明らかにならないように思うなあ。
捻じ曲がっていたら真実ではないハズ?
いやいや、皆がそうだと言えばそれが真実になっちゃうんですよね。
この「真実」は、既に他の作品で何度も病院関係者が口にする「産院での医療事故」「医師が逮捕されるに至った事件」のことだ。

「ああ、あれね!」と皆さん思うでしょう。
ついに明らかになりますよ。でも、明らかになってもモヤモヤしちゃいますよ。

そんなこんなで、病院改革が成功し…
…なわけないです。
大崩壊です。
そして、極北ラプソディに続くのです。

普通、病院が改善されていくとか、分からなかったことが明らかになるとかだったら、
読みながら爽快感を感じるハズなんだけど、次作を読んでしまっているせいか、ずっと暗鬱な気分で読んでいたので、もちろん大崩壊にも驚きませんでした。
ああもったいない読み方。

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