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映画 「サブウェイ・パニック」 [映画]

テレビにて鑑賞。
原作本は1973年に発売されて、翌年に映画化されたようです。
その後同じ原作で2回映像化されていますが、私は原作は未読です。

サブウェイ・パニック [DVD]

サブウェイ・パニック [DVD]

  • 出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
  • メディア: DVD

映画 「サブウェイ・パニック」
監督:ジョセフ・サージェント 出演:ウォルター・マッソーほか
20世紀フォックスホームエンターテイメント (Amazonにて¥1400くらい)
オススメ度 ★★★★☆

アラ、前回書いた「シャレード」とウィルターマッソーつながりですね。
↓以下、超ネタバレあります。


この映画は、多くの影響を映画人たちに与えたようです。
その割にあまり知られていないような。
男ばっかり出てるからかな?

*****

ニューヨークの地下鉄が4人の武装グループに乗っ取られ、先頭車両の乗客と車掌が人質になる。(後続車両は切り離される。)
犯人の要求は「1時間以内に100万ドル。遅れたら1分ごとに1人、人質を殺す。」。
当初は誰もが「は?地下鉄乗っ取り?どうやって逃げるの?」と笑うが、様子を見に行った職員が射殺されて、犯人の「本気」が証明される。

交渉にあたったのは、公安部のガーバー(ウォルターマッソー)。
携帯電話など無い時代、外からは車内の様子は全くわからない。
それでもガーバーは警察と協力しながら、乗客を助けようと奮闘する。

身代金は何とか準備出来たが、どう考えても指定された刻限までに犯人に届ける事は、出来そうにない。
(アクション映画のお約束、猛スピードで走る車の前にちょこちょこと通行人が出てきて『危ない!』ドンガラガッシャン!的なアレ。分かっていてもドキドキします。)
ガーバーは一芝居うってしのぐが、その後、またも犠牲者が出てしまう。

犯人たちはついに身代金を受け取り、「○○駅まで全ての信号を青にしろ」と要求し、人質をおろす事なく発車する。
実は、こっそり自分たちが降りていたのだ。
しかも、自動停車機能が効かない細工がしてあった。
しかし乗客はその事を外部に伝えることができない。地下鉄は暴走するのみ。

暴走する地下鉄を追跡するパトカーに同乗していたガーバーは、もしや犯人が途中で飛び降りたのでは?と思い、もよりの地下鉄駅で単身降りる。
この読みは当たり、犯人の一人と直接対決することになるのだが、結局、一人逃がしてしまう。
一方地下鉄は、脱線する事なく暴走したのち、犯人が要求していなかったエリアまで走ったために赤信号で自動停車。良かった良かった。

交渉中に、「犯人の中に、地下鉄を運転できる者がいる。恐らく過去に解雇になった奴だ。」と調査を依頼していたガーバーは、その資料をもとに、元職員を当たりはじめる。
ラスト、ついに犯人の家に行きつき、状況証拠をつかむ。

*****

上に書いたストーリーでは省きましたが、この映画は、非常に暴力的なシーンと、クスッと笑える面白シーンが混在していて、緊張と緩和がうまく組み合わされています。
実に「人間くさい」のです。

例えば、ガーバーが、犯人の一人がクシャミをすると「お大事に」といちいち言ったりします。
「そんな場合?!」と、緊迫した中にユーモアがあって面白いのです。
これが伏線になっているのも面白い。
(「シャレード」に類似シーンがあります。ミスリードとして仕込んだのか?それとも、使うつもりで仕込んで回収しなかったのか?)

冒頭、ニューヨークの地下鉄を視察に来ている日本人も面白い。
よく昔の映画で見かけるプロトタイプの日本人…というほどではないのですが、中の一人は首からカメラを下げています。
・挨拶すると笑顔で無言で頭を下げるだけ。
・歩きながら説明し始めて、ふとふり返ると全員最初の場所にいる。(言わないとついてこない)
・説明しても笑顔で無反応、冗談を言っても無反応。
・やれやれ英語が通じないのかと思いきや、事件に気付いて案内を中断する事になった時、中の一人がペラペラ感謝の言葉をしゃべる。

身代金調達のくだりも面白い。
100万ドルは、当時だと3億円くらいでしょうか。
嫌われ者の市長は、払えば「税金を使うなんて」と叩かれそうだし、払わなければ「ひどい」と叩かれそうだと思って、なかなか決心出来ません。
しかし妻が「18人の票を獲得出来るのでは?」と言うと、「払おう!」と即決します。

また、犯人の中の一人が、「人を殺すなんて」と仲間の行為を非難したり、そもそも金のためではない、と言ったりするのですが、いざ金が手に入ると人一倍はしゃぐ、というのも皮肉で面白いです。
とっても、人間くさいですね。

人間くさいといえば、こんな大事件が起こっているのに、「地下鉄を通常通り運行させる」事に命を懸けている同僚がいる、というのもリアルです。
ガーバーにしてみれば、人質を助ける事が第一です。
でも、「地下鉄を止めてまで、人質を助けるなんて?!」と考える人もいたのです。
大声であちこちに指示を出して、別の意味で大奮闘、ガーバーの邪魔をします。(ただし、邪魔をしようと思ってしている訳ではないです。)
当然、衝突しますよね。
ガーバーが「何のつもりだ?!」と腹を立てるのと同じくらい、彼も、ガーバーの主張が理解できず、腹を立てています。
何とも、社会の縮図的です。

一つ気になったのは、人質の中に『実は刑事』という人物がいたこと。
あまり活躍しなかったので、ナンデ?むしろいらなくない?と思いました。
てゆーか男か女か分からない程度の情報しか無いってどういう事?そんな状態で「刑事が乗っている筈」って何で分かったんでしょうね?

あっもう一つ気になったこと!
それは、ウォルターマッソーの服装です。(本筋とは関係ないんですけど。)
以前の伊勢丹の包装紙のような派手柄のシャツに、真っ黄色のネクタイ。
これって、当時、格好良かったの?
それとも、ダサダサなの?
恐らくこの服装で人物像を表していると思うのですが、ちょっと、わからないんですよねぇー。
こういう格好してるのは彼だけなので、(犯人たちはもっとスタイリッシュな服装なので)多分、ダサいんだろうと思うんですけど。

ラストシーンは、「えっこれで終わり?」と愕然とします。
でも、多分、多分ですよ、このシーンを撮るためにこの映画が作られたのではないか?と思うのです。
…アレ?似たようなことを昔淀川長治氏が言っていたかも?

*****

さて。

地下鉄を乗っ取る集団は、お互いについて深く知らず、全員が似たような格好(帽子、メガネ、ヒゲ、コート)で、互いを色名で呼び合うのですが、これはタランティーノの「レザボア・ドッグス」に影響を与えています。
(中の1名がケガをするという所まで似ている。)
彼らがどうやって知り合って、どうしてこの事件を起こしたのかは、映画内では描かれません。
この点も、レザボアドッグスは似ています。

「踊る大捜査線」の映画版、「交渉人真下正義」の「地下鉄乗っ取り」シチュエーションも、モロにこの作品のあらすじですね。
「真下…」のラストと、この映画の最後の方(ラストではない)も似ているような?

伏線や設定は、古畑任三郎シリーズでも使われていた事を思い出しました。
地下鉄乗っ取らない乗っ取りの話が、ありましたよね。

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